8カ国ヨーロッパ旅 ロンドン3日間の記録 ランガムの香り、アビーロードの朝、そして…

ロンドンの朝と旅の静けさ(参考イメージ。実在の商品や人物とは関係ありません。)

旅がゆっくりとほどけていく瞬間

ロンドンで過ごした三日間は、景色よりも自分の心の変化が鮮やかだった。
「知りたい」「歩きたい」「感じたい」という衝動が、時差も疲れも超えて身体を動かしていた。
そして最終日、キングス・クロス駅で改めて気づいた。旅は“情報”だけではなく“出会い”でも記憶に刻まれる。

ランガムの香りに包まれた到着の日

ロンドンに着いたのは正午前。地下鉄から見える街並みは、絵本の中のヨーロッパそのものだった。
Green parks駅到着。ランガムロンドンホテルのフロアに、家族旅行でランガムゴールドコーストで出会ったあの香りがふわりと漂っていた瞬間、胸の奥で懐かしさが泡のようにはじけた。
まさか同じフレグランスが販売されているとは思わず、迷わず購入。旅は香りの記憶でつながる。
ホテルマンの穏やかな物腰、気取らない距離感。どこの国でも丁寧さは美しいけれど、ロンドンのそれは“静かに寄り添う優しさ”だった。
午後は夫へのお土産を探してグリーンパーク駅周辺へ。ロック好きの夫に、ストーンズの衣類を手に入れた。喜ぶ顔が楽しみに感じる。

アビーロードの朝と、37000歩が教えてくれたもの

二日目のロンドンは、早朝から全力で巡る“観光のフルマラソン”。
日の出と同時に着いたアビーロードは、意外と静かだった。
ビートルズが歩いた横断歩道。誰もいない朝の光の中で動画を撮りながら歩くと、
「人生でやりたいこと」の一つが静かに叶っていく瞬間のくすぐったい幸福感に、思わず笑ってしまった。

バッキンガム宮殿では衛兵交代日に偶然当たるものの、時間が早すぎて待つとこの後の予定が破綻する。
潔く断念し、兵隊たちや白馬の馬車を眺めるだけで心が満たされていく。

ビッグベンへ向かう芝生では鳩ではなく鴨が歩き、そばには猫ではなく人懐っこいリス。
角を曲がると現れる高く堂々たる時計台は、何度も振り返るたびに「来てよかった」と思わせてくれる。

大英博物館では、紀元前のエジプトの遺物が当たり前のように展示されている光景に驚いた。
無料で開かれているという事実にも、文化の在り方の違いがにじむ。
ロンドン大学でキャンバスの空気を感じて自分を鼓舞した後、
ロンドンブリッジとタワーブリッジを間違えるという典型的な観光客ムーブを披露しつつも、
日没前の薄暗い空の夕方時刻に無事たどり着き、イルミネーションの光に染まる橋を眺めることができた。
明日にはロンドンを離れる寂しさと、まだ8カ国中1カ国目という旅の序章の興奮が入り混じり、
歩き疲れた身体の奥で熱いものが込みあげてきた。

夜は、1845年創業の老舗ブルワリーが手がけるビンテージビールを味わう。
閉店間際に駆け込み、なんとか手にした一杯は、予想を軽く超えてくる味わい深さ。
この日の歩数は37000歩。
けれど、不思議と疲れより「生きてる」という感覚が強かった。

ユーロスターでのCan I help you?

三日目はロンドン最終日。キングス・クロス駅からパリへ向かう日だった。
出発前にハリー・ポッターの名所で撮影をし、そのままフィッシュ&チップス探しのミッションへ。
驚くほど店が見つからず走り回った末、GPTに助けられ、ようやくフィッシュ&チップスとレモンの効いたコーラにたどり着く。
満腹になったところで、いよいよParisNord行きのユーロスターに乗車。

ユーロスターの荷物の扱いに慣れず、座席まで持ち込んでしまい通路が塞がるという痛恨のミス。
「やってしまった…」という瞬間、先に私の席隣に座っていた、短髪の金髪、ブラウンアイ、ほんのりウッディーな香りで190センチくらいの背丈、まるで映画のワンシーンのような紳士が私を見て
“Can I help you?”
それは“紳士”という言葉を体現したような、柔らかくて誠実な声だった。
荷物の上げ下ろしを率先して手伝ってくれ、緊張していた身体から一気に感謝の思いで力が抜けていった。ロンドン旅の最後に出会う優しさは、胸に長く残る。
ロンドン、本当に最高だった。

心に残ったアイテム

旅は景色だけではなく、人と香りと体験の重なりで記憶に残る。
このロンドンの三日間が、これからの旅の基準になる気がしている。

※この記事内の画像は参考イメージであり、実際の商品・人物・ブランドとは関係ありません。

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